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破産して事業を再生した事例と破産して人生を再生した事例

資金繰りに窮した代表者の方には、事業を再生したいという方と、もう会社経営自体をしたくない、人生を再生したいという方がおられ、弊所では、できるだけそれぞれの希望にあわせた処理をしています。
どちらを選択するかは、代表者の属性や事業の状況、資金繰り逼迫の原因等を総合的に判断し、代表者の責任で決断するしかありません。
以下は、弊所で取り扱ったケースです(守秘義務との関係で現実の事案を修正してあります)。
この解決事例は、破産後の「事業の再生」を選ぶか「人生の再生」を選らぶかの参考事例です。

「事業」を再生させたケース

零細・小規模な会社なら、破産手続きを利用することで、簡易な事業再生が可能です。民事再生手続きとか、中小企業再生支援協議会とか、そういう手続きはかなりの資金が必要となり、時間もかかり、結局は、再生後の経営を困難にします。 企業そのものに価値がなく、代表者の人脈・ノウハウ・技能、そういうもので会社が成り立っている場合は、破産制度を使った簡易な再生がおすすめです。

1,接骨院の倒産と事業再生

接骨院の倒産原因は、無理な事業拡大が多い。一店舗目で成功して多店舗展開したが、二店舗目で、経費だけがかかりすぎ、その赤字が本店にも及び、全体の経営が傾く、というパターンである。
このうち、二店舗目は赤字だから、再生は難しい。しかし、本店は、それだけなら黒字だから、再生は可能であり、造作譲渡を検討する余地はある。
弊所で取り扱ったケースでも、再生事案がいくつかある。そのうちのひとつは、働いている従業員に造作を購入してもらうことにしたケースである。実際に施術をしている方が経営者になるから、顧客も逃げない。その従業員は、大家さんとも仲が良く、大家さんは、すんなりと造作譲渡を同意してくれた。
譲渡価格は、わずかに100万円程だったが、管財人には、その造作譲渡を認める以外の選択肢はなく、管財人から否認されることはなかった。否認しても、原状回復債務が生じ、財団を圧迫するだけだからである。
ちなみに、破産宣告後、1年ほどして、代表者は、その店舗を同額で買い戻し、従前と同じように接骨院を経営している。
資金繰り逼迫の原因が、事業以外のときは、簡易な再生を検討したほうがいい。

2,縫製工場の倒産 パート従業員による再生

東京の注文服の販売会社だが、工場は、北陸の田舎にあり、東京で得意先から注文をうけて、その工場で作り、作った洋服を東京で得意先に売りさばくというシステムだった。経営が行き詰まり、代表者は、北陸の工場に行き、企業の閉鎖を告げた。経営者には、もはや再チャンレンジの意思はない。
工場といってもパートのおばさんたちがプレハブ内で縫製をしているだけの縫製工場だが、そのプレハブ工場で、縫製をしていたおばさんたちは、明日からの生活に困る。
そこで、従業員が一致団結して新会社を立ち上げ、従来の取引先に連絡して、今度は私たちと直接と取引してほしいとお願いした。取引先も、おばさんたちの技術の高さはわかっていたから、これを快諾した。プレハブ工場のオーナーも、賃借権の引継ぎをお願いし、かつ賃料の大幅値下げにも同意した。
管財人も、無条件で同意した。
代表者は会社も個人も破産して負債をゼロにして、今は経営者時代の得意先に請われて、その会社に勤務しているが、元従業員達は、専門家の力を誰も借りずに企業経営をしている。

3,人材派遣会社の倒産と破産制度を使った簡易な再生

小規模な人材派遣業は、破産制度を使って簡易な事業再生をするに適した業種である。
この種の小規模人材派遣業は、派遣先、派遣会社、派遣社員の強い信頼関係で結ばれている場合が多く、そういう場合は、別の場所に設立された新会社に、従業員が移籍し、新会社と派遣元会社との間で、新たに派遣契約を結ぶことは十分可能である。 管財人としても、新会社の行動を阻止することができない。破産会社の社員が新会社に自分の意思で移るのは自由だし、得意先が、信頼関係から、新たに新会社と契約を結ぶのも自由だからである。
こういうケースは複数経験している。
弊所で経験した事案の一つに、都内下町にあったIT系の派遣会社社員が、都心部の新会社に破産と同時に移籍し、その会社から、従来の派遣先に派遣されることになったというケースがある。管財人から、何のクレームもなく、それどころか、旧会社に残されたパソコンや机なども、処分すると逆に費用がかかるということで、新会社に無償で移動する許可ももらった。
他にも、IT系の人材派遣会社で、何件か、同じ手法で事業を継続したことがある。
大切なことは、このことを正直に全て管財人に報告することであり、新会社は破産会社とは完全に別会社であることを得意先にも了解してもらうことも必用である。

4,焼き肉店事業の再生

人材派遣業とは対照的に、焼き肉店は破産も破産制度を利用した再生も難しい。
破産することを告知したら、仕入業者などが押しかけ、大混乱に陥るから、Xデーまで極秘にすすめる必用がある。営業は通常通り継続する必用がある。しかし、その日までの間の仕入を掛ですることは詐欺破産罪の問題が生じ、逆に、その日以降は、冷凍庫内の大量の食肉や野菜をどうするか?という問題が生ずる。
従業員も事前に知らせるとSNSで拡散するおそれがあるから、事前には告知できない。
ただ、店舗が複数有り、一部に黒字店があれば、できれば、黒字店舗は責任者にひきとってもらいたい。閉店となると、焼き肉店の場合、かなり大がかりな造作をしているので、莫大な原状回復費用がかかることになるからである。
弊所で経験した某ケースでは、当日、従業員説明会を開催し、黒字店の店長には引き取りを打診したうえで、破産申請をした。
結局、黒字店は、店長が管財人からタダ同然で保証金と造作を買い受け、冷凍庫内の食材も、やはりタダ同然で譲り受け、今は、前からの従業員と焼き肉店をやっている。元の社長も、しばらくすると、頻繁に、その店に出入りするようになり、今後は、この店で働きたいといっていた。きっと、今頃は、新社長と元社長で、頑張って焼き肉店を経営しているだろう。

5,ゴルフ教室の再生

人材派遣業同様、破産制度を使った事業再生が容易である。
破産するとかなりの原状回復費が生じ、破産財団を圧迫させる。管財人としては、ゴルフ教室の精算はさけたい。
一方、受講生は、会社がどうなろうと、自分のお気に入りのレッスンプロで、その場所で教えてもらえばよいのであり、破産で営業が影響を受けることはない。
会社に場所を提供している賃貸人としても、新たな賃借人を探すのは大変だし、不安でもある。従来の顧客と従来のレッスンプロで事業が継続すれば、ありがたい。
そこで、法人としては破産しても、レッスンプロ達で新会社を設立し、賃貸人の承諾を得て造作譲渡を受け、ゴルフ教室を継続した。
従前の代表者は、一応、退任はしたが、その会社に出入りし、経営指導をしている。

6,工務店の倒産と再生

工務店は、倒産の多い業種だが、再生が可能なケースも少なくない。消費者相手の建築会社は再生に難しいところがあるが、大手の下請けなどをしている場合は、そうでもない。
以前、小規模だが老舗の工務店の倒産を手がけた。資金繰りを経理に任せきりにし、気がついたら、今月の決済ができなくなっていたというケースだった。
問題は仕掛かり中の工事をどうするかだが、代表者が立派な人だったので、知人の工務店が引き継いでくれた。
また、破産と同時に、従業員は、その知人の会社に移籍し、その従業員が、仕掛かり中の工事を担当した。
請負代金は、出来高で知人の会社と管財人が精算した。
破産手続がすすんだところで、代表者は新会社を設立し、そこに従来の従業員を引き継いだ。工具などは、管財人からただ同然で買い受けた。
再生が可能か否かは、多くの場合、代表者と関係先の信頼関係で決まる。本件は、老舗と言うこともあって、得意先と永年の信頼関係があり、それが成功の原因だった。
ただ、こういう信頼関係を築いている工務店は少ない。

7,農産物販売事業の倒産と再生

これも、老舗の会社である。農産物を購入し、特定のルートで販売するという業務を永年にわたり続けてきた。
破産会社代表者の息子は、代表者の事業にみきりをつけ、昔の従業員と新会社を設立し、父の仕入れ先に、新会社を設立したことを説明した上で、今後は、新会社のほうにも商品を納めてほしいとお願いし、その承諾を得た。また、従来の販売先にも、商品は全く同じであり、今後は、新会社の商品も購入してほしいとお願いした。
その上で、新会社を活動させた。借入金がないだけに、父の会社と異なり、事業は非常に順調に推移した。
1年ほどして、父の会社は、資金繰りに窮し、弊所に破産を依頼し、父の会社は破産して解散した。
債権者からの指摘で、管財人は、父の会社から息子の会社への資金や資産の移動がないか調査したが、移動は一切ないことが判明し、無事、破産手続は終了した。
息子は、父の会社で働いていて獲得した人脈を利用して「事業再生」を果たしたものだが、いくら人脈を利用しても、財産の移動がない限り、問題にはならない。
父親は、息子の会社の顧問になり、農産物の販売事業に携わっている。

8,歯科医院の再生

医師や歯科医師は、再生しやすい業種の一つである。弁護士は、破産したら資格を失うが、医師や歯科医は資格を失うわけではない。
しかも、破産というのは、「もの」しか差押えできず、医師・歯科医師としての評価・人脈等は、破産手続の対象にならない。
依頼を受けた歯科医は、事業そのものは黒字だが、うっかりと親の借金を相続したために、資金繰りに行き詰まった。
そこで、弊所に依頼して破産手続をとった。
問題になるのは、いろいろな医療機器で、これは、知人の歯科医に頼んで、管財人と交渉して設備一式を買い取ってもらった。管財人自身、大家に対する原状回復で困惑していただけに、渡りに船で、際めて安価で買い取ることができた。
破産手続終了後、依頼者は、従来の歯科医院で「従業員」として働き、途中で、再びその歯科医院を買い取った。
今は、同じ場所で立派に経営している。

「人生」を再生させたケース

破産は、人生の終わりではなく、再生の第一歩です。破産手続き終了後の代表者の人生をみていると、「捨てる神あれば拾う神あり」とつくづく思います。ほぼ全員が「破産してよかった」と言います。逆に、無理した事業再生は、人生の再生を妨げます。
以下は、弊所で扱ったほんの一例です

1,高齢者介護施設の倒産

高齢者介護施設の倒産は、大体、パターンが決まっている。
脱サラ、転職を考える→介護施設の無料説明会がある→その説明会に出席し、いかに有望かの説明を受け、それを素直に信ずる→多額の借り入れをして、FCに多額の入会金を支払い多額な設備投資をして介護施設を開始する→しかし、当初の説明とは異なり、なかなか入居者や利用者が確保できない→FCに相談すると、苦しいのは最初の半年、ここを超えれば経営は軌道に乗るとFC本部に言われる→それを素直に信じ、頑張るが、経営環境は悪化の一途→あるとき、規制などから、新規の介護施設は、経営が成り立たないんだと業界の古巣から教えられ愕然とする→そのころはすでに多額の借金をしていて身動きがとれない→やむなく破産する。
弊所で経験した案件は、だいたい、こんなものである。
一番、問題になるのは、利用者の引継ぎである。性質上、遠く離れた場所は利用できない。また、どういうタイミングで、施設利用者のご家族に、その話をするか、これも難しい。あとFC本部に何時破産を告知するか、これも難しい。FCは、同時に債権者でもあることが多いから、破産宣告前に通知するわけにはいかない。
これに対し、従業員は、結構、別の施設に引き継いでもらえる。
どの案件も、最終的には混乱することなく、無事、精算を終了できた。
いずれの代表者も、人間的に魅力のある方達ばかりで、知人のつてを辿って再就職し、別の分野で人生の再生を立派に果たしている。
無理して事業を継続させず、いさぎよく、会社を閉鎖したことが、その後の成功につながった。

2,メッキ工場の倒産

メッキ工場の倒産の問題点は、原状回復の困難に尽きる。
メッキ工場には、人間が一滴でも飲めば即死するという劇薬が大量にタンクになみなみと注がれている。これを廃棄することは、莫大な費用がかかる。これが最大の難問である。
しかし、破産する会社で、このような費用を工面できるケースは少ない。原状回復費用を完全に要求する一部の地方裁判所では、この種の破産は受け付けないだろう。
しかし、申立が東京地裁だったので、予納金は極めて少額のため、かなり苦労したが、柔軟に判断して受理してもらえた。普通、申立して受理されるのは、それほど難しいことではないが、本件は、非常に苦労した。
代表者は、一時、自殺も考えたことがあったそうだが、今は、得意先の紹介で、会社経営者としての実績を評価されて、きちんと会社勤めをしている。

3,建売業者・注文住宅会社の倒産

建築関連の倒産は多いが、深刻なのは建売業者・注文住宅業者の倒産である。
第1は、被害者が消費者で、企業の倒産で、その消費者の人生を狂わせてしまう場合がある。
第2は、債権者の多くは、零細な下請け業者が多く、連鎖倒産する業者がいる。
破産申請をしつつ、消費者の保護と連鎖倒産の防止という二大難問をどうやって解決するか、処理を誤ると消費者被害問題を引き起こし、多くの連鎖倒産を引き起こしてしまうことになる。
まず、破産申請会社が建売会社で、完成前の状態で建売住宅を売った場合、宅建業法によって保全措置(引き渡しが終わるまで保険会社や銀行が保全している)がとられているし、破産申請会社が注文住宅会社の場合でも、「住宅完成保証制度」に入っていれば、万が一、契約した会社が倒産しても、保証会社が工事を引き継ぐ建築会社を紹介し完成をサポートしてくれる。
上記、いずれにも該当しないときは、工事未完成部分は財団債権になるので、破産会社において、破産申請前に弁済しても偏波弁済になる可能性は少ない。
消費者保護は、ある程度は確保できる。
一方、永年の取引先の連鎖倒産防止だが、これは、破産申請代理人としては、当該企業の決裁日に余裕を持たせることができるようXデーを設定するくらいの配慮しかできない。あと、弊所は、受任通知書に連鎖倒産防止の諸制度を説明した文を併記し通知するようにしているし、セーフティ共済にも協力するようにしている。
今まで建築会社の倒産は、南関東を中心に数多くこなしてきたが、元請けや下請けと協議することで、何とか混乱は回避できてきた。
またこういう建築会社の代表者は、結構、交際範囲が広い人が多いから、そのつてをたどって、経験を買われて同業者のもとに就職できる場合が多い。
実際、弊所で取り扱ったケースは、いずれも、経験と知識をかわれ、会社に就職し人生を再生させている。

4,大規模テナントビル内の洋服店の倒産

大規模店舗の一角で洋服の小売をしている、経営が苦しいので破産申請したい、こういうケースは非常に多く、一月に、同じような企業破産の申請を同時に何社か申請したことがある。
この手の破産で一番大切なことは、他のテナントに迷惑をかけないことである。一つの店舗が倒産したことがわかったら、ビル全体のイメージ悪化となり、他のテナントに迷惑をかけるからである。
破産を決意したら、管理会社と事前に協議し、当日の対策を協議するのがのぞましいが、事案により、そうでないケースもある。
また全国の複数のテナントビルに出店しているが、資金繰りの関係でXデーまで、あと数日というところで飛び込んでくる依頼会社が少なくなく、こういう場合は、ビル一件、一件、入念な打ち合わせをするのが物理的に不可能な場合もある。
従業員説明会は、SNSで事前に情報が拡散するおそれもあるから、慎重さが要求される。
弊所で扱ったケースは、いずれも経験を買われ、関連取引先に再就職している。

5,消費者被害を引き起こしている会社の破産申立

毎月、複数の企業から破産の依頼を受けていると、中には消費者被害を追及している弁護士さんから訴えられている企業からの破産依頼もある。
そういう会社から依頼を受けるにあたっては、会社代表者に、「何よりも、管財人の業務に協力し、隠し事をしないことが大切だ」ということを事前に説明し、理解認識させることになる。東京地裁に関する限り、「情報の配当」さえ、きちんとすれば、免責はもらえる場合がほとんどであり、代表者の方は、破産しても免責はもらえないのではないかと心配する必用はない。
ただ、この手の会社の債権者は、「債権者」というより、企業の「被害者」であり、受任通知、債権者集会、いずれも格別の配慮が必用になる。
弊職の個人的な経験からすると、債権者集会で攻撃的な言動をとる債権者は、非常に少ない。
問題は、このあとで、代表者は、たいていは普通の企業に就職している。営業能力はある方で、結構、就職先での評判もいいようである。

6,小さな病院の倒産

入院施設のない小さな病院の場合、継続的に受けいれている患者をどうするか、病院に残されている医薬品もどうするか?色々と問題が多い。なかには、特色を打ち出して全国から患者を集めている病院もある。漢方専門とか、あるいは腰痛専門とか、カウンセリングだけで治療するとか、こういう場合は、代替となる医院を見つけることは大変だ。
破産するという事実は、Xデーまで隠しておくから、予約診療の患者さんの処理も大切だ。飲食店の予約とは異なり、その予約患者さんたちにとっては、命の問題にもなる。
他方で、職員さんや看護婦さんをどうするかという問題もある。一番、頭を悩ませるのが医院の経理。経営者は、給料の支払いや診療報酬の請求など、経理責任者に一任しているのが普通である。個々の手続きは全く知らない。しかし、事前に破産することを教えるわけにはいかない。他方で、破産後も協力してもらう必要がある。
一方で、経営者は、ぎりぎりまで延命活動に専念し、弁護士のところに相談に来たときは、もう時間がないという場合がほとんど。決断と実行、これを数日間で行う必要がある。
ただ、実際スタートすると、不思議と何とかなるものである。

7,円安倒産

最近の円安は、日本経済を復活させたが、この「円安」が悲劇をもたらした業界も多い。その一つが輸入業界、特に中国から輸入して国内で販売していた業者。
以前、日用品は、国内で注文を取り、これを中国で生産し、国内に輸入して販売する、まあ、こういうパターンができあがっていたが、円安の進行、中国での賃金の上昇、試練を乗り越えてきた国内メーカーの企業努力等から、中国で安く仕入れ、国内で高く売るというビジネスは限界になりつつある。
この種の企業の破産申請は、かなりの数をこなしたが、在庫品をどうするか、在庫品のある倉庫の原状回復をどうするか?倒産企業の倉庫に大量に残る商品は、ほとんど売れない商品ばかり。原状回復をどうするか?破産申し立てにあたり、悩みは尽きない。
ただ、いずれの経営者も、破産後は、みなさん、人生の再スタートをきられています。